思い切って黒薔薇を嗅いでみると、薔薇独特の甘ったるい香りが鼻をくすぐった後に、なぜか気分が悪くなった。

気持ちが悪いというより、鬱(うつ)になる感覚だ。


「うわ……気持ち悪い」

白魔も黒薔薇を嗅いで顔をしかめる。


「ん、ピンク」

横からカロンがピンクの花びらを差し出してきた。

小鳥はそれを受け取り、黒を渡そうとしたら蜜莉が白薔薇のサンプルケースをカロンに投げた。

「僕に黒ちょうだい。カロンには白あげる」

「おー、サンキュ」

「あ、じゃあ、これ…」

小鳥からケースをもらい交換が済んだ三人はまたそれぞれ香りを嗅ぐ。


「あ…ピンク、すごく癒されますね」

温かい気持ちになりながらまだ嗅いでない最後のサンプルを受け取る。


(白薔薇……確か、ボンヤリするっていう…)


ケースの蓋を開け、恐る恐る嗅いでみた。

すると――。