美里は巨大な狼に向かっていつでも矢を放てるように、高い木の幹で待機していた。 そこは、普通の女子なら、それが例え高校生だとしても。 『キャァァァァァ!!』と悲鳴を上げるか、硬直するか位の高さがある木に平然と上って。 当然のごとく。 微塵の不安も感じていない自分に、なんだか複雑な気分になっていた。