そう思い始めている。


最後のアドレスに電話をかけて同じような質問をしたけれど、結果はやはり似たようなものだった。


先輩が自ら失踪する理由はどこにもない。


そして、誰も先輩の居場所を知らなかった。


「今日はもうここまでにしよう」


そう言い、栞理がベンチから立ちあがった。


「うん……」


あたしも一緒になって立ち上がる。


太陽は随分沈んでいて、あたしは薄暗くなり始めている。


「また、明後日の休みに調べてみよう」


栞理がそう言い、あたしの背中をたたいた。


一応は元気づけてくれているみたいだ。


亜耶に敵対心を持っている栞理に頼るしかない自分が情けない。


「うん」


でもあたしは今、そう頷く事しかできなかったのだった。