結局、あたしは亜耶に何も聞けないままだった。


なにか深い意味を持っている亜耶の言葉を聞いてから、安易に足を踏み入れてはいけないと感じたのだ。


でも、亜耶の事は余計に気になり始めていた。


亜耶に残された時間が少ないのだとすれば、後悔はしたくない。


放課後になり、あたしは自分から栞理を誘った。


あたしに誘われたことで栞理は少し驚いていたけれど、亜耶の事で聞きたいことがあると言うと、素直についてきてくれた。


そして今、あたしたちは学校の近くのファミリーレストランに来ていた。


ドリンクバーだけ注文してジュースを取ってきたあたしたちは、向かい合って座っていた。


「で、話ってなに?」


栞理がオレンジジュースを一口飲んでそう聞いてきた。


「亜耶の噂の事」


「だと思った」


栞理は真剣な表情で頷いた。


「もう少し、詳しく教えてくれない?」


「いいよ」


栞理は頷き、話をはじめた。