「たぶん、新しい道具が入ってくれば捨てられるんじゃないかな?」


「そっか……。そうだよね。使えなくなったものは捨てられる。それ普通だよね」


亜耶は、まるで自分自身に言い聞かせるようにそう言った。


なにか、捨てたくても捨てられないようなものがあるのかもしれない。


「ねぇ、亜耶」


あたしがそう言った時、授業開始を知らせるチャイムが鳴った。


「あ、授業始まったね。でもあたしたちはここにいる」


亜耶がそう言いあたしを見た。


その済んだ青い目にあたしの心臓がドキッと跳ねた。


「ワクワクするね」


さっきと同じ事を繰り返す亜耶。


「亜耶、どうして彼氏を作らないの?」


あたしの質問に亜耶は少し驚いたように目を見開いた。


「どうして? そんなに彼氏を作ってほしいの?」


亜耶は首を傾げてあたしに聞いてくる。


思えばあたしは亜耶に何度もこの質問を投げかけている。


その度に言われていた。


『菜月がいればいい』と。