「ちょ、ちょっと待って!」


あたしは慌てて栞理の話を止めた。


「それって、本気で言っているの?」


「もちろん。だから、陰では亜耶の後ろには暴力団がついていて、亜耶に近づいた男たちが排除されているんじゃないかって噂」


暴力団!?


あたしは栞理の言葉に目を丸くした。


でも、もしそうだとしたら、あたしの疑問はすべて解決される。


男に傷つけられた事がないのは、常に組の人間が亜耶を守っているから。


あたしに家庭環境について話さないのは、両親がそういった関係者だから。


そして、亜耶が男と付き合わないのは、元からそう言った関係者との結婚が決められているからではないか?


亜耶の後ろに暴力団がいるという説で、それらすべての謎が解けるのだ。


「菜月も、気を付けた方がいいよ」


栞理は最後にそう言い残し、あたしを置いて教室を出たのだった。