川上君の家は逆方向らしく、あたしたちは校門で別れることになった。


「一緒に帰れなくて寂しい?」


亜耶にそう言われ、素直に「うん」と頷くあたし。


すると、亜耶があたしに抱きついてきた。


「菜月可愛い!!」


「ちょっと、なにするのよ」


身長のある亜耶に体重を乗せられると歩けなくなってしまう。


「ごめんごめん。菜月があまりにも可愛いから」


そう言う亜耶にあたしは自分の顔が赤くなるのを感じた。


あたしより亜耶の方がずっとずっと可愛い。


でも、亜耶に褒められると素直に嬉しかった。


亜耶の言葉には嫌味がないからかもしれない。


「あたしも亜耶みたいに産まれたかったな」


「え?」


「背が高くて、スタイルが良くて、美人で」


「そんな、いいもんじゃないよ?」