でも、あたし1人で戻ったって適うような相手じゃない。


「君は、俺の事が好きなんだよね?」


不意にそう聞かれ、あたしは一瞬言葉を失った。


「そう……だよ……?」


かすれた声で返事をする。


「それなのに他の女の子と一緒に居させて何も思わないんだ? それも、俺が好きだって言っている女の子が相手だよ?」


「それは……」


確かに、川上君の言う通りだ。


できれば亜耶に近づけたくはない。


でも、今はそれ所じゃないはずだ。


「ほら、気にせずに早く帰ろう」


川上君があたしの手を握る。


あたしは少しだけドキッとしたものの、それを喜ぶ気にはなれなかったのだった。