亜耶と散々買い食いをして、近くのショップを見ているとあっという間に日は傾いて行った。


最後にもう一件だけ見てから帰ろうと言う事になり、最後のお店に入る。


そこは紳士服も多く取り揃えているショップで、男性客の姿も多い。


その中にあたしは川上君の姿を見つけてしまった。


こんなに沢山の人がいるのに一瞬にしてその姿を見つけられるなんて、我ながら感心してしまう。


無意識の内に姿を探してしまうほど、川上君の事が好きなのかもしれない。


もう振られたと言うのに、粘着質な自分の性格が嫌になる。


今日はどうせ栞理と一緒にいるんだろうし、こっちから声をかけるのは辞めた方がいい。


そう思い、あたしは川上君から視線をそらし、婦人服のコーナーへと足を進めた。


それなのに……。


「古川さん!」