翌日。


あたしは普通に学校へと登校してきていた。


いつもと同じ時間に家を出たけれど、栞理と鉢合わせすることはなかった。


「菜月、おはよう」


校門をくぐったところで声をかけられて振り返ると、そこには亜耶が立っていた。


朝の太陽に照らされて茶髪がキラキラと輝いている。


ニコッとほほ笑むその姿は、やっぱり誰がどう見ても美しかった。


「おはよう、亜耶」


あたしと亜耶は当たり前のように肩を並べて歩き始めた。


「昨日は友達のお葬式だったんでしょ?」


そう聞かれ、「そうなんだよね」と、あたしは頷いた。


「矢野君……って人だって聞いたけど、そんな人いたっけ?」


亜耶が首を傾げて思い出す素振りを見せる。


「ううん。あたしもこの前初めて会った人なの。だから亜耶が知らなくても普通だよ」


「そうだったんだ」


亜耶はホッとしたように笑う。


「あたしが矢野君の事をすっかり忘れてるのかと思って、焦っちゃった」


あたしは葬儀に出席したのに、自分は出席しなかった。


それを言っているのだろう。