それは日曜日の夕方頃だった。


あたし、古川菜月(コガワ ナツキ)は愛犬リリの散歩に出かけていた。


家の近所には大きな公園があり、ランニングしている人や子供を遊ばせている人の姿がある。


あたしの家で15年も飼っている柴犬のリリは今もまだ元気で、あたしを引っ張るようにして進んで行く。


「ちょっとリリ、もっとゆっくり歩こうよ」


9月はまだ熱さを残していて、速足で歩いていると息が切れる。


あたしの言葉にリリはチラッとこちらを振り返り、歩調を緩めながら再び歩き出した。


なんだかおばあちゃん犬にいたわってもらっている気分だ。


人間年齢で言えば、高校2年生のあたしの方がずっと若いはずなのにと、ため息をはきだす。


元々体育会系ではないから、すぐに疲れてしまうんだ。


もう少し体力つけなきゃなぁ……。


そんな事を考えながら公園を歩く。