***
──幼い頃。
まだ何も知らない、優しい世界に生きていた頃のことだ。
露李は桜木、香月と共に日々の生活を送っていた。
「露李様。力が現れないことなんて、何も恐れることはありませんよ。人には人のペースがあるのですから」
露李の髪をとかしながら、桜木が言ってくれていたのを今でも覚えている。
「でもね桜木ー。野花様がいっつもおっしゃるの。できそこないって」
「出来損ない?何てことを。気にすることはありませんよ」
「ありがとー桜木。あー、かづき!」
「露李さま、今日はお花つみにいきましょう。香月がご一緒しますからだいじょうぶですわ」
「ほんとに!──あ」
「か、薫様!」
慌てて平伏す桜木の姿を眺めて、自分の祖母を見つめる。
「露李さん、外に出てはいけませんよ」
「おばあさま。…分かりました」
「香月。ちょっとこちらへ来なさい」
祖母の視線が冷たい。
何故か背筋にぞくりと悪寒が走った。
──幼い頃。
まだ何も知らない、優しい世界に生きていた頃のことだ。
露李は桜木、香月と共に日々の生活を送っていた。
「露李様。力が現れないことなんて、何も恐れることはありませんよ。人には人のペースがあるのですから」
露李の髪をとかしながら、桜木が言ってくれていたのを今でも覚えている。
「でもね桜木ー。野花様がいっつもおっしゃるの。できそこないって」
「出来損ない?何てことを。気にすることはありませんよ」
「ありがとー桜木。あー、かづき!」
「露李さま、今日はお花つみにいきましょう。香月がご一緒しますからだいじょうぶですわ」
「ほんとに!──あ」
「か、薫様!」
慌てて平伏す桜木の姿を眺めて、自分の祖母を見つめる。
「露李さん、外に出てはいけませんよ」
「おばあさま。…分かりました」
「香月。ちょっとこちらへ来なさい」
祖母の視線が冷たい。
何故か背筋にぞくりと悪寒が走った。


