「結先輩っ、ここは私が」
「大丈夫だ、お前が出ることねーよ」
結は文月に露李を託し、固まっている野花の方へ向かった。
そして不敵に笑う。
「挨拶は受け取った!やってくれたなー」
結の軽い口調にほっとしたのか野花は高慢な態度を取り戻す。
しかし忘れてはいけない、と露李は結の後ろ姿を眺めた。
迎え撃てと命令したのは結だ。
「疑うわけではありませんが、やはり露李様の身柄を案じておりますので。ご安心下さい、露李様に危害は加えませんわ」
「そうかそうか。……けどなー、これは筆頭守護者として言わせてもらう。俺達は姫様を守るために仕えてるんだ。次、こういうことがあれば命の保証はできない」
「あら。神影一族に危害を?」
「おう!」
いや、おうって、と結以外の守護者たちが少し笑った。
「良いかー?もう一度言うぞ。俺達は“露李の”守護者だ」
ふわ、と翡翠の気が結の金髪を揺らす。
「他に言いたいことはあるかー?」
「野花様、行きましょう」
ぎりっと歯噛みした野花の袖を一番気弱そうな少女が引っ張った。
「…香月(かづき)」
露李が呟くと少女はびくりと身体を震わせた。
「露李様……」
怯えた顔に胸が痛くなる。
「お久しぶり。元気そうで安心したわ」
他に何を言うことも出来ず、露李は踵を返した。
結が横に戻ってくる。
「しゃんとしてろ。大丈夫だ」
その囁きに頷く。
野花たちが去るのを見送り、文月が笑いだす。
「いやー、結。相当脅したね?」
「反省の色なしにつき、だ」
「落ち着けとか言って俺とそう変わんないじゃん」
「いやお前。殺す気でいただろ」
「殺しはしないよ、半殺しくらいだよ」
「水無月と発想が似てきてるぞー」
えー、と文月が笑いながら露李の頭を撫でた。
里はやはり気が滅入る。


