す、という衣擦れの音が響いた。
誰もが息を飲み、露李の一挙一動全てに注目していた。
「ここで御報告させて頂きます。まだ知らない方もいらっしゃるかと思いですが──母、未琴は侵入者により命を落としました」
悲鳴のようなざわめきが広間を満たした。
「お黙りなさい!」
即座に薫が叱咤する。
露李は一息ついて続けた。
「母の葬儀は、この神影家本邸で行うこととします。本日、私が母をお運びし、お連れしました。どうぞ皆様、ここで母の死を悼むことをお許しください」
「静粛に。…姫様および守護者様の滞在は二日間ほどです。皆、失礼のないよう」
そう言い渡し、薫はくるりと露李たちを振り返って膝を折った。
「露李さん、気詰まりでしょう。この後、少し話があるので部屋を用意させます。ご自分のお部屋で休んでいなさい」
「はい」
ゆっくりと雛壇を降りる。
前は苦しかった雰囲気だが、いつもより気楽だった。
「姫。お手をどうぞ」
先に一段下に足をかけた結と文月の手を取る。
見かけは王子様の二人にエスコートされるなんて贅沢、などと思いながら真顔で段を下りた。
「…何あれ。調子乗ってんの?」
「あの子にあんなことさせられて、守護者様も可哀想」
「開花したとはいえ大したこと無いじゃん」
ヒソヒソと聞こえる声に言い返しかけて、飲み込む。
──相手にしたら負けだ。


