いつの間に眠っていたのか、ふと気がつくと露李は結の肩に頭をもたせかけていた。
整った顔とキラキラした金髪が目に飛び込んでくる。
至近距離で翡翠がこちらを向き、一気に脳が覚醒した。
慌てて飛び退く。
「ん、起きたかー?」
「す、すみませんっ!」
結は窓枠に肘をついたまま優しく笑った。
「別にこれくらい何てことねーよ」
その笑みに何故か狼狽える。
──何、何これ。何でこんな。
心臓がうるさい。鼓動が早い。
「…どうしたー?」
視線をさ迷わせている露李を不審に思ったのか、結はじっと見つめてくる。
「や、あのっ。こっち見ないでください」
「は?」
ますます訳がわからない、と結は困り顔だ。
自分でも分かっていないのに理由を説明できるわけもなく、露李も困惑する。
「顔、赤いぞ。暑かったか?窓開けんのは寒いし…風でも送るかー?」
「いいい良いですっ。何でもないです!」
「おお…そっか」
分からないなりに流すことを決めた結はそう言ってくれるが、露李は大混乱である。
あわあわと困っていると、様子を見ていた結が吹き出した。
「ははっ、何だお前。おもしれーな」
「はい!?」
全然面白くないけどっ?
と、正体不明の感情に狼狽えながら内心突っ込む。
「やめてくださいよねっ、漫画みたいな『面白ぇ女』ポジションは嫌ですからね」
「お前も漫画とか読むんだなー」
「読みますよーわりと」
そんなとりとめのない話に流れていくのを感じながら、ソーッと結を窺う。
途端に目が合い、また逸らした。
「何か…そういう動物みたいだよなー……」
「せめて人でいさせて下さい」
何の動物だ。
「分かった分かった。よーしよーし」
そう言いながら撫でてくる。
適当にあしらわれているようで面白くないが、撫でられるのは嫌いではない。
おとなしく撫でられていると、今度は結が固まる番だった。


