【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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 流れていく景色。

この街に来るとき見ていたものと同じだ。

否、季節は違うので全く同じではないのだが。


「何だか、こっちの方が故郷みたいに感じます」


「まぁそうかもなー、色々あったし」


本当に色々あった。

露李はこの街で起こったことを思い返し、笑ってみせる。
瀧谷がいるので詳しいことは言えないけれど。


花霞が狙われ、有明と出会い、露李が人間とは全く違う、鬼であるということを知った。

水無月──氷紀と再会し、彼はその手で未琴を殺した。

そして、露李は守護者から逃げた。

花霞や風花姫、霧氷を巡った悲しい過去。

想いを分かち合い、戦った。

守護家の当主を一人失った。

朱音と出会い、神の存在を知った。

戦い、そして露李は“神”になり。

花霞を自らの内に取り込み、水無月は力を大幅に失った。

失ったきたもの、得たもの。


どれも大きくて、露李一人では抱えきれない。

それでもここまで来られたのは、守護者たちのおかげだ。


「でもま、お前は本当に姫様らしくない姫様だったなー」


「えーそれどういうことですかっ」


「いやいや褒めてんだよ。守られるだけじゃない姫様とか、そうザラにはいねーだろ」


よく頑張ったなー、と結が撫でてくれる。

いつも言い合いばかりしている、子供のような所もある先輩だが、露李にとっては頼れる存在だ。

心から信じられる存在だ。


結はにかっと笑い、バックミラー越しに苦々しい面持ちの瀧谷と目を合わせた。


「…守護家筆頭、風雅家の結様。里ではそのような発言は控えられますよう」


「どういうことだー、それは」


「戦闘行為や多弁は神影の信念に反します」


「未琴様から聞いたなーそんなこと」


結は意にも介さず楽しげに言う。

瀧谷がまたジロリと結を見返したところで、露李は口を開いた。


「お黙りなさい、瀧谷」


「っ…露李様」


不服そうに瀧谷は口をつぐむ。


「口を慎みなさい。守護家の人々にそのような態度をとることは私が許しません」


「ですが、」


「貴方は私や守護者の方々に文句をつけるためにここへ来たのですか?それならすぐに降ろして頂いて結構です」


瀧谷はまた口を開きかけ、また黙りこんだ。

祖母から言いつけてあるのだろう。

彼女は仕事を全うしない者には容赦のない人だ。


「仰せのままに」


ああ、神影家の人だなあと暢気にも思った露李だった。