【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく



 露李たちが神社へ戻ると、水無月が立っていた。


「お帰り、露李」


今から行くんだけど、と思わず笑う。


「お見送りしてくれるの?」


「もちろん。あとそれから──迎えが来たよ」


水無月の言葉に皆が身構える。

ふと見ると、少し離れたところに車が二台止まっていた。
神影家の紋が捺された黒塗りの車だ。


ああ──そうだった。

連絡をすれば、彼等が迎えをよこさないわけがない。


「連絡もよこさない奴等がか」 


「そうですよっ、何でこんなときだけっ」


疾風の声が怒りに震え、静も声を荒らげた。

理津は鋭くその車を見透かすように睨んでいる。

疾風と理津は時間が巻き戻された露李と話す時間が長かったため、より怒りが膨れ上がった。

二人からゆらゆらと気が立ち上る。


「おーいお前らー。落ち着けー」


結が明るく諌め、文月も静に視線を投げかける。


「静、やめな」


「……はい」


露李は皆が憤るのを止めずに、諦めたように笑った。

そこに陰はない。

怪訝そうに守護者たちが露李を見る。

海松が露李様、と呟いた。


「神影家は里の広範囲を牛耳ってる。表向きは企業としてだけど。だから風花姫の帰還にわざわざ紋付きの迎えをやって、威厳を示そうとしてるのよ」


驚くことではない。

ただ、忘れていただけ。


「これから行くのはそういうところなの」


クソ、と理津が罵る。露李はぷっと吹き出す。


「ありがと」


代わりに怒ってくれる人がいることほど心強いことはない。


「貴様ら、今からその様子では先が思いやられる」


水無月も溜め息混じりに言った。


「向こうで何を言われても毅然としていられる自信がある者だけが行け。無理なら俺とここを守れ」


誰も動かない。水無月は満足げに笑う。


「露李、手に負えないことがあったら呼んで。ここは俺が守るから無茶はしちゃダメだよ」


頭を撫でられながら、露李は力強く頷いた。