何やらワイワイと楽しそうな先輩を見ながら、静は笑みを浮かべた。
海松はその横顔を何も言わずに眺める。
静が──守護者たちが、露李に拘っているのはよく分かっていた。
例に漏れず、自らもそうだ。
海松にとって、女友達は初めてだった。
葉月家では、幼い頃から風花姫の世話役として育てられ、一族の中で実力を買われた者だけが代表として仕えることができる。
神影家の分家であり、力は殆ど無いに等しいものの海松だけは治癒の力があった。
故に期待され、この地位に辿り着いたのだが。
それまでの生涯は満足できるものだったが、露李と出会って変わった。
より、輝いたのだ。
蔑むこともなく、己の運命を嘆くこともない風花姫。
強く美しい彼女に、自分は何ができるのか。
露李が自分を必要としてくれることが、ただただ嬉しい。
海松は例えようのない喜びを感じていた。
しかしそれと同時に、守護者と自分達があまりにも彼女に心酔し過ぎることに危うさを感じていたのだった。
守護者たちや自分は、露李のために命を捨てかねない。
それを止められるのは──自分と、水無月。
海松は静の表情をじっと見つめた。
「…どうかしました?」
静が訊ねる。
「いえ」
不思議そうな顔をする静を誤魔化し、海松はそっと不安を包み隠したのだった。


