***
未琴の納棺、そして神影へ帰還する日。
綺麗に保たれた母と慕った女性を露李は蔵の中、じっと見つめた。
後ろには守護者と海松がいた。
水無月は勿論、来ていない。
「【浮遊】」
静が唱えると萌黄の光が未琴を包み、彼女を棺の中に運んだ。
気持ちの良いものではない。
最後は敵として判断した未琴だが、皆、未琴に思い入れがあった。
しかし彼女もまた運命に囚われた、花霞や風花の犠牲者だ。
そっと未琴に近づく。
文月が力を解放し、花を創った。
各々が一輪ずつ花を持ち、それらが無くなるまで棺に入れる。
花を全て入れると、露李は未琴の眠っているような表情を浮かべた顔を眺めた。
白百合、そして好きだった露草に囲まれ安らかに眠る未琴は、例えようもなく美しく、そして悲しかった。
「露李ちゃん、俺たちは外すね」
「……はい」
文月の声に返事をして、彼等が出て行くと、露李は小さく微笑んだ。
「…母様」
今なら、そう呼ぶことを許されるだろうか。
誰も、未琴さえも聞こえていないのなら。
「母、様」
母だと思っていた。
厳しいときもあったが、記憶の中では優しい母だった。
その記憶が偽りと分かってしまっても、母親を慕う心は無くならなかった。
偽りの思い出でも、その中でだけは自分は愛されていた。
熱い雫が頬を伝う。
「母様……」
思いが交錯する。
正気を失った母の姿も忘れられない。
結を操り、道具のように使おうとしたことも。
それでも、心から嫌うことは出来ない。
少しでも未琴からの想いを探してしまう。
「あの鏡…どうして私にくれたの……?」
未琴に贈られた鏡。
自分の正体に気づかせるためなら、風花姫になる前に露李は気がついていたはずだ。
プレゼントとして渡した意味は。
複雑な想いに、胸が刺すように痛んだ。
未琴の納棺、そして神影へ帰還する日。
綺麗に保たれた母と慕った女性を露李は蔵の中、じっと見つめた。
後ろには守護者と海松がいた。
水無月は勿論、来ていない。
「【浮遊】」
静が唱えると萌黄の光が未琴を包み、彼女を棺の中に運んだ。
気持ちの良いものではない。
最後は敵として判断した未琴だが、皆、未琴に思い入れがあった。
しかし彼女もまた運命に囚われた、花霞や風花の犠牲者だ。
そっと未琴に近づく。
文月が力を解放し、花を創った。
各々が一輪ずつ花を持ち、それらが無くなるまで棺に入れる。
花を全て入れると、露李は未琴の眠っているような表情を浮かべた顔を眺めた。
白百合、そして好きだった露草に囲まれ安らかに眠る未琴は、例えようもなく美しく、そして悲しかった。
「露李ちゃん、俺たちは外すね」
「……はい」
文月の声に返事をして、彼等が出て行くと、露李は小さく微笑んだ。
「…母様」
今なら、そう呼ぶことを許されるだろうか。
誰も、未琴さえも聞こえていないのなら。
「母、様」
母だと思っていた。
厳しいときもあったが、記憶の中では優しい母だった。
その記憶が偽りと分かってしまっても、母親を慕う心は無くならなかった。
偽りの思い出でも、その中でだけは自分は愛されていた。
熱い雫が頬を伝う。
「母様……」
思いが交錯する。
正気を失った母の姿も忘れられない。
結を操り、道具のように使おうとしたことも。
それでも、心から嫌うことは出来ない。
少しでも未琴からの想いを探してしまう。
「あの鏡…どうして私にくれたの……?」
未琴に贈られた鏡。
自分の正体に気づかせるためなら、風花姫になる前に露李は気がついていたはずだ。
プレゼントとして渡した意味は。
複雑な想いに、胸が刺すように痛んだ。


