【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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「えー、葵さんすごい!」


部屋の真ん中ではしゃぐ露李を見て、静はふっと口元を弛めた。


あの後、少しずつ話をしていくうちに、露李は当主たちと仲良くなってしまったようなのだ。

静としては母親と露李の関係が良好なのは嬉しいのだが。


どうやら今は折り紙で鶴を折り、それに意思を吹き込むという遊びをしているらしい。


知恩家では幼い頃にそうやってよく遊んだ。


──露李先輩、楽しそうです。


「何を笑っている?」


隣で同じように座っていた水無月が怪訝な顔をして尋ねる。


「あ、いえ。露李先輩、楽しそうだなーと」


答えると、意外にも嬉しそうに目を細めた。

水無月が露李以外に笑顔を見せたことに驚いて、目を丸くする。

見るな貴様の視線で露李が腐る、くらいのことは言いそうなものだが。


「露李が楽しそうだとこっちまで楽しくなるよねぇ。あの顔。よっぽど楽しいみたいだけど、俺以外にあんな風に笑うのは癪だなぁ」


串刺しにして殺してやりたい所だけどそれじゃ露李が泣くよねぇ、と危険思想を語る水無月を苦笑いで見る。

無意識か、口調も露李仕様になっている。


「露李先輩、良い顔で笑いますよね」


「俺はあの子の笑顔は世界一、あ、宇宙一だと思ってるから」


壮大ですね、水無月さん。


「昔っから気の強い子だったけど、本当、輪をかけて逞しくなった」


「僕、失礼ですけど風花姫様ってもっと…何でしょうか。もう守られる専門だと思ってました」


「あー…露李はそういうの嫌いだから」


そう水無月が呟いたとき、露李がパッと顔を上げた。


「氷紀兄様ー!見てっ、鶴!」


「おおー、綺麗に折れたね」


さっきまで甘々なことを言っていたはずが、急にお兄さん口調になる。


と、ふと静と目が合った露李が恥ずかしそうに目を伏せた。

何だろうと首を傾げる。


「何か、柄にもなくはしゃいじゃった」


「あら、良いのよ露李姫。ねえ静?」


葵がもう何十羽目かになる鶴を折りながら静に同意を求める。


「ええ。その鶴、綺麗ですね」



にこりと微笑む静に、安心したようにふにゃりと笑った。