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「到着っと、桜、着いたけど…?」


車を止めても降りようとしない私を変に思って山村さんが声をかけた。


「はい…わかってます」


うう…酔った…。


これから撮影だけど、正直言ってそれどころじゃないよ…。


山村さんはなんで平気なんだろ…?


今にもお昼ご飯が出てきそうな思いで車から降りた。


よろけながら足を進め、控え室へと向かう。


出来るだけ笑顔を装って、スタッフさんに心配かけないようにメイクやヘアセット、着替えを済ませた。


準備を済ませたら、ふらつきの無くなった足でスタジオへ向かう。


「さくらちゃん!今日もよろしくね〜」


「はい!みなさんよろしくお願いします!」


満面の笑みで礼儀正しくお辞儀。


まだ少し気分悪いけど、プロのモデルとしてはそんなこと言ってられない。


「おお!今日も調子いいみたいだね!それじゃあさっそく撮ろっか!」


酔ったせいであんまり調子は良くないんだけど…。


スタッフさんを騙せるくらいにはちゃんと笑えてるってことだよね。


気持ちを切り替えて、撮影場所に移動した。


ポージングを決めと、


…パシャ…パシャ


シャッターを切る音が鳴り出す。


カメラのフラッシュが私を照らし、みんなの視線が私に集まってるのがわかった。


この瞬間がすごく好き。


私の大好きな洋服が、私のことを精一杯輝かせてくれる感じがする。


楽しく撮影していたら、車酔いなんてどこかへ飛んじゃったし!


「はい、おっけー衣装チェンジお願いねー」


「はーい」


その後も順調に撮影は進み、今日の撮影は終了となった。