続・祈りのいらない世界で

翌朝。


意外と早くに目が覚めたキヨが洗面所に向かうと、洗濯当番のカゼが洗濯機の前で屈みながら、洗濯カゴの中を凝視していた。




「…カゼ?何してるの?」

「………はよ。キヨ」

「何をそんなに見つめてたの?カゴ壊れちゃった?」



キヨはカゼの横に屈むと、洗濯カゴを覗いた。


洗濯カゴには5人分の下着だけが入っていて、それ以外変わった事はない。




「…?どうしたの、カゼ」



キヨが首を傾げると、カゼはカゴをひっくり返し中身を床に落とした。




「………カンナとキヨの下着。俺が干していいのかなって思って」


「何を今更。私なんか普通にカゼ達のトランクス干してるよ?」


「………俺はいいけど、キヨ。イノリにもブラやパンツ見られてるんだよ」



カゼの言葉を聞いたキヨは重大な事に今更気付いた。



カンナは大人の女性らしい、上下セットの綺麗な下着を身に着けているが、キヨは上下もバラバラで、子供でも履くような下着を着ている。




「下着だけは別にした方がいいのかな?いくら私達の仲だからって、もうみんな年頃だもんね。…まぁ私は色気のかけらもない下着しか持ってないけど」


「………イノリが洗濯当番の時だけ気を付ければいい。俺はキヨの下着、キヨらしくていいと思うけど」


「ううっ…。もう遅いよ。上京してからイノリ、何回も洗濯当番やってるじゃん。私、何も気にしないで洗濯に出してたよ…」




真っ赤になって俯くキヨに、カゼは笑う。