続・祈りのいらない世界で

「うわっ。旨そう…」

「カゼみたいな事言わないでよ。魚見て旨そうなんて」

「なぁ、ペンギンってキヨみたいじゃね?チビっこくて丸々しててヨチヨチ歩くとことか、マジ似てる!!」



そう言って笑い出すイノリをキヨは顔を膨らますと叩いた。


そんないつものキヨの仕草にイノリは優しく微笑んだ。




「…少しは元気出たか?」


「え?」


「お前はマイナス思考だから人一倍悩みを抱えるからな。その上、1人で溜め込むクセがあるからたまに落ち込むだろ?

…気楽に考えろ。お前の悩みはお前が考える程、難しくも悲しくもないんだ」




イノリはそう言うと優しくキヨの頭を撫でた。




「…っ。イノリ…今度また水族館行こう?今度はもっと大きな水族館に。あと…遊園地とプールと、海と…ピクニックと…動物園。…他にも沢山。2人でも行って5人でも行こうね」


「あぁ行こう。お前が行きたい所全部、連れて行ってやるから」


「…うん。約束だからね」



口先だけの約束になるかもしれない。
叶えられない約束になるかもしれない。



でも、それでも…

“約束”がある間はイノリといられる。



だから私は約束を作る。

イノリと指切りで繋がっている為に…





「閉館の時間みたいだな。池袋まで来た事だしブラブラしてくか」




その後キヨとイノリはゲームセンターやカラオケに足を運び、思う存分ハシャいだ後、終電に揺られていた。