続・祈りのいらない世界で

「キヨ〜♪支度出来た?」



キヨとカンナがいる部屋に、勢いよく入ってきたケン。

その後ろからダルそうにイノリが入ってくる。




ケンとイノリは純白のドレスに身を包むキヨを見ると固まった。



「…え?何でそんなポカンとしてるの!?やっぱりこの二の腕の太さに引く!?」



キヨが慌てて二の腕を手で隠すと、ケンがキヨに抱きついた。



「キヨ―!!俺と結婚しよ♪イノリには勿体ないほど綺麗だよ」

「結婚しようって…私もうイノリと結婚してるってば!」

「そうよ、ケン。キヨはもうイノリのものよ。…まぁ昔からイノリのものだけどね」

「酷いよ、カンナ!せめて慰めてよ〜」



暫く騒いでいた3人は、いまだ固まっているイノリに視線を移した。




「イノリ?あんたいつまで固まってるのよ」

「そうだぞ!いつまでも固まってるなら俺がキヨと結婚しちゃうからな!!」



ケンの言葉に我に返ったイノリはキヨに抱きつくケンを引き剥がし、キヨを抱き締めた。




「…イノリ?」

「式は取り止めだ」

「は!?」



3人はイノリのまさかの発言に目を見開く。




「何言ってんの!もうお父さんやお母さん達式場で待ってるんだよ!?今更取り止めなんて…」

「お前を誰にも見せたくない。ダメだ」

「へ?なんで?…やっぱブヨブヨの二の腕が醜いから?」

「ちげぇよ、バカ!…こんな綺麗になって誰かに惚れられたりしたらどうすんだ!!」



真っ赤になって怒鳴るイノリに笑いながら、カンナとケンは部屋から出て行った。