続・祈りのいらない世界で

「でも本当に嬉しいわ。キヨとイノリが結ばれて。…あんなに悩んで迷って傷ついていた2人が幸せになってくれて本当に嬉しい」


「カンナ。私ね、カンナとケン、そしてカゼがいてくれたから今幸せなんだよ。……ありがとう」




今まで生きてきた中で

こんなに心を込めた『ありがとう』は初めてだった。




「キヨ…」



キヨの言葉を聞いたカンナは涙を流す。



長年、キヨの幸せを願ってきてくれたカンナだから流せる涙。



キヨは優しく見守ってくれてきたカンナを抱き締めた。



「私もカゼと式挙げたかったな。…綺麗だよって言って欲しかった」

「…カンナ」







その頃、別室で話し込んでいたケンとイノリ。



「あぁ…キヨもとうとうイノリの物か」


「とうとうって、もうキヨとは結婚してるぞ。婚姻届出してんだから」


「そうだけどさ、式挙げると余計実感するじゃん!…はぁ〜やっぱりイノリに取られる運命だったかぁ」


「ゴチャゴチャうるせぇな!この引きずり男!!キヨは俺のものだ。物心ついた頃からな」


「くっ〜!この俺様ヤローが!!」


「何とでも言え」




白いスーツに身を包んだイノリはケンと共にキヨの待つ部屋に向かった。