続・祈りのいらない世界で

「誕生日ねぇ。毎年祝ってはやるけど、特に何をあげるわけじゃねぇしな…」



イノリは1人になった部屋でブツブツ呟いていると何かを閃き、ある人に電話を掛けた。




「もしもし。おっちゃん?イノリだけど、久しぶり」

「おー、祈か。お前が俺に電話してくるなんて珍しいな」

「ちょっと頼みたい事があってさ。実は………………………」



イノリは伯父に電話をし、ある頼み事をした。




「祈の願いだから聞いてやりたいのも山々なんだが、季節が季節だからな。人手が足りねぇんだな」


「そこを何とかしてくんねぇかな。…大事な奴の誕生日なんだよ」


「大事な奴?祈、彼女出来たのか」


「彼女じゃねぇけど彼女なんて言葉より大切な女だよ」



イノリの言葉を聞いた伯父は、優しく笑った。




「わかった。何とかしてやる。ただ約束してくれ」

「何?」



イノリはこの時、伯父と大切な約束を交わした。





キヨの誕生日当日。


「本当に地元に来ちゃったね」

「お前が来たいって言ったんだろーが」



新幹線、電車と乗り継いで地元へと帰ってきた5人。


5人は実家に荷物を置くとイノリの家の車でドライブに出掛けた。




「夏祭りはもう終わっちゃったよね。夏祭り行きたかったなぁ」


「もう8月の終わりだからお祭りの時期じゃないわね」


「ねぇねぇ。あのショッピングセンターっぽい大きな建物、いつ出来たんだろ」


「………ここも発展してきてるんだね」