続・祈りのいらない世界で

「兄弟って言っても、キヨの方が誕生日早いわよ」

「………あ。もうすぐキヨの誕生日だね」

「そうだね♪今年はどうやって祝ってあげる?」



物心ついた頃から毎年5人の誕生日は、何かと豪勢に祝う5人。


8月のキヨの誕生日が5人の中で一番早い誕生日である。




「キヨは今、何が欲しいのかしら?」


「ご馳走はカンナ手作りケーキとトウモロコシさえあれば満足してくれるしね。問題はプレゼントか」


「………イノリにリボン付けてプレゼントすれば喜ぶよ」


「そうしてあげたいのは山々なんだけどね」



3人は溶けかけのかき氷をスプーンでかき混ぜながら考え込んでいた。




「うーん、カンナ。お腹空いた」



空腹のせいで目覚めたキヨにカンナが唐揚げを差し出すと、キヨはパクリと口に運んだ。




「ねぇキヨ、今行きたい場所か欲しい物ってある?」


「え?何いきなり。…そうだなぁ、身長かカンナみたいな色気が欲しいかな?」


「そうじゃなくて、例えば遊園地とか水族館に行きたいとか、ピアスが欲しいとか」


「うん、みんなで遊園地も水族館行きたい♪ピアスはもう穴塞いじゃったから付けられないよ?」



キヨは耳たぶを触る。


余談だが、イノリは片耳に2つずつ、カゼとカンナは片耳に1つずつ、ケンは片耳に4つ以上穴を開けている。


キヨは右耳に1つ開けていたが、ピアスをするのが面倒になり穴を塞いでしまっていた。




「…でも1番行きたいのは地元かも。昔みたいにみんなで河原や田んぼ、山で遊びたいな」


「キヨは地元好きだよな♪まぁ俺も好きだけど」



キヨの言葉を聞けた3人は顔を見合わせて頷いた。



その後、ビーチバレーをしたり散々騒いだ5人は家へと帰宅した。




「イノリ、来月キヨの誕生日でしょ?丁度夏休みだし、地元帰らない?」


「地元?なんで地元なんだよ。もっとはしゃぎ回れる所じゃなくていいのかよ」


「キヨが地元がいいって言ったのよ」



イノリの部屋を訪れたカンナは、キヨの誕生日の話をした。