続・祈りのいらない世界で

「イノリ、キヨ。かき氷買ってきたよ♪何味がいい?」



イノリとキヨの元に5色のかき氷を持ったケンとカンナ、沢山の食べ物をトレーに乗せたカゼの3人が戻ってきた。



イノリとキヨは1つのベンチの上で、キヨがイノリの上に乗っかる体勢で眠っていた。




「どこからどう見てもカップルなのに、どうして付き合わないのかしら」

「………大切過ぎて失うのが恐いんだよ」

「ってか付き合われたら俺が困る!キヨとは俺が付き合うんだから!!」



カンナとカゼはケンを見てへっと鼻で笑うと、イノリとキヨを見つめた。




「………水着姿であれだけ密着してて発情しないイノリ、尊敬する」


「発情って…。イノリはキヨをそんな対象で見てないのよ」


「………そうかな?イノリ程キヨを抱きたいと思ってる男はいないと思うよ」


「そうじゃなくて、イノリは軽々しく抱く対象としてキヨを見てないって事よ。イノリにとってキヨは天使みたいな存在だから、そんな簡単に抱いたり出来ないのよ」



カンナの言葉に納得したカゼは、黙々とランチを食べ始めた。




「ん〜…ん」



キヨはもぞもぞ動くとイノリの顔まで頭を移動させ、イノリの頬に頭を擦り付けた。


そんなキヨを見て笑うと、カンナはイノリとキヨにビーチタオルを掛けた。




「何かキヨとイノリって兄と妹みたいじゃない?悪く言うと父と娘!!絶対俺の方が彼氏に見えると思うんだけど」

「………いや?」

「カゼのアホーっ!そこは肯定するのが優しさだろっ!!」



ケンはカゼをガクガクと揺さぶる。