続・祈りのいらない世界で

「彼女もよく見たら可愛いかも。彼氏がカッコよすぎるだけで普通に可愛いじゃん」

「よく見たらお似合いだね」



カゼのオーラのおかげで可愛くみえるらしいキヨ。



暫くして順番が回ってきたキヨとカゼは、キヨが前、カゼが後ろに2人乗りのボートに乗った。



滑る入り口は、高速に流れる水が物凄い音を立てている。




「…カっ…カゼ!!やっぱ恐いかも」

「………大丈夫。俺がいるよ」



カゼがキヨの頭をポンと叩くと、2人を乗せたボートは滑り落ちた。




「きゃあああ〜はははっ!!!!面白ーい♪」

「………ふっ。キヨ。悲鳴と笑いが一体化してる」



バタバタとハシャぐキヨを見たカゼは、大きく体を揺らした。

その振動で2人が乗ったボートは傾く。




「ぎゃあああ!!何してんのっ!?カゼのバカぁぁ!!!!」

「………楽しい」



グラグラと激しく揺れながら滑っていく2人。


しかしカゼが再び体を揺らすと2人を乗せたボートは反転し、キヨとカゼはボートから振り落とされ、そのまま地上のプールへと放り出された。



スライダーに頭をぶつけたキヨは意識が朦朧とする中、水の中に沈み水中を眺めていた。




水の中は何も聞こえない。
息も出来ないけど苦しくない。

変な感覚…




キヨが水の中でそんな事を思っていると、いきなり誰かに引き揚げられた。



いきなり呼吸が出来るようになると、大量の酸素を吸った肺が痛かった。