続・祈りのいらない世界で

「美月は本当に素敵な男性と巡り会えたわね。祈くんみたいな人は中々いないわよ」


「あら、清田さん。それは私のセリフよ。祈が美月ちゃんみたいな女の子と巡り会えてよかったわ。祈は絶対、美月ちゃんがいなかったらグレてたから」



結婚式当日。

ドレスに着替えたキヨを囲んでいるキヨの母とイノリの母は嬉しそうに話し込んでいる。



キヨはベールやドレスの裾を直してくれているカンナを見ると、母達に呟いた。




「ねぇお母さん達。ちょっとカンナと2人にしてくれる?」


「かんなちゃんと?いいけど、どうして?」


「カンナはどんな時も、いつもそばで私の恋を応援してきてくれたからお礼が言いたいの」



キヨの言葉に頷いた両親達は、キヨとカンナだけを残し式場へと向かった。




今思い返すと、この23年間は家族といる時間よりも5人でいた時間の方が長かった気がする。



そして誰よりも

イノリへの想いを理解してくれていたのは、同性であるカンナだ。




「キヨ、綺麗よ。凄く素敵」

「ありがとう、カンナ。でも二の腕丸出しだから恥ずかしいよ」

「大丈夫よ、イノリはそんなキヨが好きなんだから」

「…カンナ、それは誉めてるの?けなしてるの?」

「キヨをけなしたりしないわ」


「そのセリフ、前にカゼにも言われた気がする」




キヨとカンナは顔を寄せて微笑み合う。