続・祈りのいらない世界で

「でもさ不釣り合いじゃない?彼女小さいし、スタイルいいわけでもないのに」

「確かに。あんなイケメンならもっといい女と付き合えるのにね。勿体無い」



キヨは女の子達の言葉に胸を刺された。


きっとイノリといてもそう言われるのではないかと思うと悲しかった。




幼なじみで生まれてこれたからそばにいられるけど

もしただの同級生とかだったのならきっと、イノリのそばにいる事なんか出来ないんだろうな。


そう思った。





イノリやカゼが赤の他人だったらイノリは私なんか眼中にないだろうし


高校の時のギャル達や大学のキャンパスメイト、そして今後ろにいる子達みたく遠くから騒いだり見つめたりするくらいだったのだろう。



そして私もきっと、ここまでイノリに恋をしたりしなかったんだろうな。



そばにいるから、色々知っているからここまで好きになったのだから…




イノリと出会わなかったら、私はどんな人に恋をするのだろう。

全然想像出来ない。



カゼ達がいない人生を歩いている自分を見てみたい気もするけど、4人がいない世界は考えられない。



きっと5人幼なじみで生まれた幸せ者の私は、生まれた地点で運を使い果たしたから、イノリと結ばれないんだよね、神様。




キヨがぼぉっと物思いに耽っていると、カゼがキヨを抱き寄せた。



「…カゼ?」

「………キヨ可愛い。可愛すぎる。好きだよ。大好き」



いきなりのカゼの発言にポカンとするキヨ。


後ろに並んでいる女の子達は赤くなって騒いでいる。




…あぁ

カゼは気を使ってくれたんだね。見下されてる私に恥をかかせない為に…


どこまで優しいんだろう、この人。




カゼの優しさを改めて感じたキヨはカゼの肩に頭をつけた。