続・祈りのいらない世界で

「………俺もやりたい。行こう、キヨ」

「わーい♪だからカゼ大好きっ」



キヨはカゼの腕を掴むと嬉しそうに飛び跳ねた。




「おい、危ねぇぞ。お前ぜってぇ泣くって」

「………大丈夫。2人乗り用があるから、俺がそばにいる」



カゼはそう言うと、キヨと共にウォータースライダー乗り場へと向かった。




「最近本当に仲良しだなぁ、キヨとカゼ。イノリが俺のライバルだと思ってたけど、実はカゼがライバルだったりして。最近キヨの保護者役がイノリ並みに板についてきてるし」



ボヤくケンを睨むと、カンナは視線をイノリに移した。




「…イノリいいの?キヨとカゼ、2人で行かせちゃって」

「知るか。勝手にすればいい」

「あんまり意地張ってるとカゼに取られちゃうわよ?」



カンナの言葉を聞いたイノリは舌打ちをすると、プールから出た。




「わー…結構高いね」

「………うん」



その頃。

ウォータースライダーの乗り場にいるキヨとカゼ。



2人が順番を待っていると後ろから声が聞こえた。




「前にいるカップルの彼氏カッコよくない?髪型とか凄いお洒落だし」

「本当本当。彼女羨ましい」



後ろに並んでいる女の子達の声が聞こえたキヨは、カゼと2人でいるとカップルに見えるんだなぁ…と思った。


出来るならイノリといる時、そう言って欲しかったとも思った。