続・祈りのいらない世界で

「これカンナとオソロなんだよ。カンナは黒ね。この前一緒に買いに行ったんだ♪…どう?似合う?」



キヨはその場でクルッと回るとイノリに問い掛けた。




「腹出てる奴がビキニなんか着るな!!ってか水着を着るな!!着るならスクール水着みたいな色気のないのにしろ!バカが」



イノリはそう言うと、ズカズカとリビングから去っていった。




「…私そんなにビキニ似合わないかな?高校プールなかったからスクール水着なんか持ってないけど」



キヨがシュンとすると、カゼは一度部屋に何かを取りに行き、再びリビングに戻ってきた。


カゼは持ってきた長いストールを器用に裂くと、キヨの腰に巻き付けた。




「カゼ?」

「………イノリは水着姿のキヨを他の男に見せたくないだけだよ。似合ってないとは一言も言ってなかっただろ?
…このままでも可愛いけど、イノリがまた妬くからこれ巻いてな」


「パレオみたいで可愛い♪ありがとう、カゼ」



キヨはカゼに抱き付くと、イノリの部屋へと足を運んだ。




「イノリン♪見て見て〜」



キヨがイノリの部屋に入ると、イノリは不機嫌そうな顔でキヨを見た。




「そんなにプール行きてぇのかよ」

「うん。地元にいた時みたいに東京でも5人の思い出作りたいんだもん」

「…プールなら庭に家庭用プール作ってやるから、それで我慢しろ」

「やだ!私もう子どもじゃないもん!!」



キヨはムスッとするとイノリの横に座った。





「…じゃあ1つ約束しろ。俺の手をずっと繋いでるって。いいな?」

「言われなくてもいつも繋いでるじゃない」

「…そうだな」



イノリはキヨの頭をポンポンと叩くと、キヨの頭に顎を乗せた。



頭の上から見下ろすとキヨに気付かれる事なく、キヨの胸の谷間をよく見る事が出来る。


イノリも男なのだ。