続・祈りのいらない世界で

数時間後。
キヨは誰かが咽せている声で目を覚ました。



「ん…。イノリ?起きたの?熱下がった?」

「あぁ。もう大丈夫だ」



キヨが目を擦りながら起き上がると、持ってきたお粥が空になっている事に気付いた。




「イノリ、お粥食べてくれたの?美味しかった?」

「…これお粥だったのか。味の薄い焦げたチャーハンかと思った」

「病人にチャーハンなんか作らないわよ!」

「次は腹壊しそうだな」



イノリが意地悪くそう言うとキヨはイノリを突き飛ばした。




「ねぇイノリ?…寝る前に私にあんな事やそんな事しそうになったの覚えてる?」

「………は?俺はキヨみたいな色気のない女は抱かねぇぞ」



キヨはイノリを蹴飛ばすと、怒りながら部屋から出て行った。




「…記憶がないなら抱いとけばよかったな。なんて。……俺は理性が効かなくなってきてんのか?」



イノリは微かに残るキヨの香を抱きしめた。




暫くしてイノリがリビングに向かうと、カゼとキヨが何やら話し込んでいた。



「どう?胸大きく見える?」

「………キヨは案外胸あるんだね。着痩せするのかな」

「やだっ…!!カゼのエッチ」



端から聞いていると恋人同士のイチャついている声に聞こえる。




「おい!!リビングで何してんだよ!!」



イノリが怒鳴りながらリビングに入ると、カゼとキヨはビクッと体を震わせ、イノリを見た。

キヨは水着を着ている。




「………はよ。イノリ」

「いきなり大声出さないでよ!!びっくりするじゃない!!」

「お前らが変な会話してるからだろ!!そして何故キヨは水着を着てる」



イノリがキヨを指差すと、キヨはあぁ!!といったように口を開く。




「今度の休みにみんなでプール行こうってカゼと話してて、この水着どうかな?って聞いてたんだよ」



キヨの言葉にカゼは頷く。



キヨが着ている水着は、白いフリルのビキニだった。