続・祈りのいらない世界で

「仕方ないなぁ。一緒に寝てあげるよ」



キヨがそう言ってもぞもぞと布団の中に入ると、イノリは子どものような顔ではにかみ、キヨの背中に抱きついた。



「…キヨっ!!キヨ!!!!」

「何かイノリキャラ違くない!?ケンみたいだよ?……可愛いからいいけど」



キヨが後ろに腕を回し、背中に頬擦りをするイノリの頭をくしゃっと撫でると、イノリはいきなりキヨの服に手を忍ばせた。




「――っ!!やっ!?何してんの!!」

「…キヨが…何処にも行かないように…」

「行かないから!!絶対に行かないからやめて!!…お願いだから…」



キヨとイノリが布団の中でそんな事になっている時、ノックもせずにカゼが入ってきた。




「………キヨ。イノリ大丈夫?……あ。お邪魔しました」



カゼは2人を見ると部屋から出て行った。




「ちょっと!!カゼに変な誤解されちゃったじゃない!!……って、あれ?」



キヨが後ろを振り向くと、イノリは苦しそうに息をしながら眠っていた。


キヨは安心したような、少しガッカリしたような気分になった。




「…私は別にイノリとならしてもいいんだよ?でも…イノリの言う『男は好きでもない女とでもヤれる』そういう存在にはなりたくない…。虚しさが増すだけだから」



キヨはイノリに毛布を綺麗に掛けると、部屋から出て台所へ向かった。