続・祈りのいらない世界で

「はぁ〜笑った笑った。よく先生に怒られなかったよね」

「あの先公じっちゃんだからな。耳遠いんじゃねぇの?」



5人が帰る支度をしていると、女の子がカゼの元へやってきた。



「風くん、ちょっと時間いい?」

「………うん。何?」

「ここじゃちょっと…。学生控え室行かない?」

「………わかった。キヨ達、ちょっと待ってて」



カゼはそう言うと女の子と共に教室から出て行った。




「また告白かな?カゼってどこ行ってもモテるね」

「見てくれがカゼに適う一般人はそうはいねぇよ。中身はちょっと問題ありだけどな」

「カゼは優しいよ?」

「そういう事じゃねぇよ」



講義室で待ってるのもなんの4人は、コソコソとカゼの後を追った。



控え室ではカゼと女の子が話している。

4人は少し空いている窓の前で息を潜め、耳を傾けた。




「…風くんは好きな子いる?」

「………うん。いるよ」

「そっか。そうだよね。私が好きって言ってもフラれるだけだよね」

「………ごめんね。好きな子がいなくても俺は誰とも付き合わないよ」

「なんで?モテるのに?」



女の子の言葉にカゼは優しく微笑んで呟いた。




「………今はイノリ、キヨ、カンナ、ケンの5人でいるのが一番楽しいから」

「風くんの好きな子って清田さん?黒花さん?」

「………2人共好きだけど、違うよ」



カゼの言葉を聞いてしまったカンナは、その場から走り去ってしまった。

キヨはカンナを追う。




「カンナっ!!待って!!」



キヨに叫ばれたカンナは足を止め、振り返った。


カンナの瞳は涙で潤んでいる。