続・祈りのいらない世界で

「イノリ、女の子達がイノリのアドレス知りたいんだって」

「は?何でだよ」

「何でって言われてもね。イノリと仲良くなりたいんじゃないの?」

「ふーん。俺、本当に用がねぇとメールしねぇし」



曖昧な返事しかしないイノリをど突くとキヨはカゼに話し掛けた。




「カゼ、後ろに座ってる女の子達がカゼのアドレス知りたいんだって」

「………アド?キヨが教えてもいいと思うなら教えていいよ」

「何それ!!」



困ったキヨがカンナを見ると、カンナは首を振った。





「ごめんね、2人共彼女がいるから教えられないって」

「そっかぁ〜残念。じゃあプリ頂戴♪」

「うん、いいよ。好きなだけ貰って」



キヨは鞄からプリクラケースを出すと女の子達に渡した。


女の子達はカゼが写っているプリクラをマジマジと眺めている。



「ねぇ、北山くんの彼女って美月なの?」

「へ?なんで?」

「だって5人で写ってるプリクラがほとんどなのに、北山くんと美月2人だけのもあるんだもん。しかもラブラブな感じの」



何と答えればいいのかわからないキヨはイノリに助けを求めた。




「イノリどうしようっ」

「…そうだって言えばいいだろ。誰も困らねぇよ」



イノリの言葉を聞いたキヨは、女の子達に頷いた。




「やっぱり♪超羨ましいんだけど。北山くんのあの俺様っぷりがまじツボなんだよね」


「いやいや、そこがイノリの欠点でもあるし」


「でも本当に仲良しだよね。いつも5人並んで講義受けてるもん。何か雰囲気が友達っていうより家族みたいだよね」


「幼なじみだし一緒に住んでるから自然にそうなるだけだよ」


「えー、でも幼なじみだからってここまで仲良く出来ないよ。5人みんながみんな大好きなんだね」


「うん、大好きだよ♪」




キヨがニッコリ笑うと教室に教授が入ってきた。




「美月、またメールするね。たまには美月からもしてよ?」

「はーい」



キヨは前を向くと教科書とノートを広げ、携帯をいじり始めた。