続・祈りのいらない世界で

「今日は4限と5限の講義があるんだよね。教科書ロッカーに置いて帰っててよかったね」


「そうそう。確か4限の授業は私語厳禁だからつまんないんだよな」



授業の開始時間ギリギリに大学に到着した5人は、足早にロッカーへ教科書やノートを取りに行くと、急いで講義室へ向かった。



運良く教授はまだ来ておらず、5人はイノリ・キヨ・カゼ・カンナ・ケンの順に並んで席に座った。




「うぅっ…お腹空いた。唐揚げ食べたい」

「唐揚げって…。もっと女らしい食いもん連想出来ねぇのかよ」

「うるさいなぁ!てか、授業中お腹鳴ったらどうしよう。私語厳禁で静かだから響くよね、きっと」

「聞き流してやるから安心しろ」

「お腹鳴ったらイノリのせいにしていい?」

「何でだよ!!」



お腹が鳴っているキヨは、隣に座るイノリにバシバシと体当たりしながら唸っていた。




「美月、これ食べる?」



声を掛けられたキヨが後ろを振り向くと、後ろにはキャンパスメイトの女の子が何人か座っていた。


1人の女の子がキヨにポテトチップスの袋を差し出す。



「わーい♪いただきます」

「よかったら北山くん達にも分けてあげて」



キヨは袋を受け取ると、横に座っているイノリ達に袋を回した。



「イノリ、ちゃんとお礼言いなよ。ほらカゼ達も」

「あぁ、サンキューな」

「………ども」



イノリとカゼが女の子達に軽く頭を下げると、女の子達は嬉しそうに赤くなって騒ぎ出した。




「ねぇねぇ美月。倉木くんにメアド聞きたいんだけど、教えてくれるかな?あっ、でもかんなちゃんと付き合ってるんだっけ」

「私、北山くんの知りたーい♪」



女の子達はコソコソとキヨに話し掛ける。




「うーん、どうだろ。カゼもイノリもメール好きじゃないんだよね。アドくらい教えてくれると思うけど」

「ちょっと聞いてみてくれない?」




女の子達に促されたキヨはイノリに問い掛けた。