続・祈りのいらない世界で

「…ん。眩しい…」



キヨが目を覚ますと、辺りはすっかり明るく暑い程の日差しが射していた。

4人はまだ眠っている。




「…今何時だろ?…」



キヨはカゼの手首を掴み腕時計を見た。




「――!!みんな起きてっ!!講義に間に合わなくなるよっ!」



キヨが4人を起こすと、カンナとカゼがパッチリと目を覚まし、ケンとイノリは渋々起き上がった。




「急いで帰ればギリギリ間に合うかしら?」

「………多分」



カゼが目を擦りながら運転席に乗ろうとすると、イノリがカゼの肩を掴んだ。




「お前昨日ずっと運転したから疲れてるだろ。今日は俺が運転するわ」

「………うん。ありがとう」

「いいよ、お前は大人しく菓子でも食ってろ。…キヨは助手席に乗れ」

「はーい♪」



カゼはイノリに車のキィを渡すと、カンナとケンが座っている後部座席に乗り込んだ。



車の中は、地元の懐かしい匂いが漂っていた。




「ねぇイノリ」

「何だ。便所でも行きたくなったか?」

「ううん。お腹空いた…」

「確かにな。ライブ前に食ってから何も食ってねぇし。でもどっかに食いに行ってる時間はねぇしな。…我慢しろ」



空腹のせいでキヨが少々不機嫌になっていると、カゼがチョコレートを突き出した。



「………はい。キヨあげるよ。溶けてるかもしれないけど」

「ありがとう♪カゼ」

「こんなところでカゼが役に立つとはな。もうカゼをバカに出来ねぇな」




カゼはポケットを漁り、イノリ、カンナ、ケンにもお菓子を分けた。