続・祈りのいらない世界で

「…なんだろう?地元にいる時と何も変わらないのに、毎日みんなでいられるから幸せなのに…

私は東京が恐いのかなぁ?

カンナとカゼとケン、イノリが…いつか東京の空気に飲み込まれて消えていきそうで…。私達の存在より大切な人を見つけてしまいそうで…」



変わりゆく環境と、急速に大人になっていく自分のスピードに心がついて行かない。

だから募っていく不安。




そう言ってキヨが俯くとカンナはキヨの頭を優しく撫でた。




「キヨは変な心配しないでいいのよ。私はキヨを置いてどこかに消えたりしないわ。ずっとそばにいる。私だけじゃない、ケンもカゼもイノリもね。だから恐がる必要なんてないのよ」


「…カンナ」


「未来なんてわからないから不確かだし、今は言葉でしか言ってあげられないけど、私はそう思っているからね」



優しいカンナの言葉を聞いたキヨはカンナに笑みを向けると、隣で髪を風に揺らしながら腕を頭に回し、寝ているイノリを見つめた。



凛々しく愛想の悪い顔も、寝ている時は子どもみたいにあどけない。


キヨはソッとイノリの頬にキスをした。




「ふふっ、キヨ可愛いわね」

「………本当にキヨはイノリが好きだね」

「くそ〜!!イノリの野郎〜」



寝ているイノリにくっつくキヨを見ていた3人。


暫くすると、カゼが腕を組んだ体勢のまま寝転んだ。




「カンナ、今がチャンスだよ!チューしちゃえって♪」

「するわけないでしょ!!」

「てか、カゼ変な体勢で寝てるね。寝づらくないのかな?」




ケンがカンナにカゼにチューしろコールをして騒いでいると、イノリが起きた。