続・祈りのいらない世界で

「ケン、もう着くから起きて〜」

「ん〜もう着くの?早かったね」



ケンが伸びをして起きると、キヨはイノリを揺すり始めた。


しかしイノリは起きない。




「………イノリは一度寝ると中々起きないね」

「本当だよね!無理矢理起こすとすっごい機嫌悪くなるし。…イノリ!!もう着くよ」

「〜〜うっせぇな…寝かせろ…」



イノリは物凄く機嫌の悪そうな顔をすると、窓に頭を付け再び寝息を立て始めた。




「キヨもうほっといていいよ、イノリなんて。寝起きのイノリは乱暴だから危ないし。着いたら俺が引き吊り降ろすから」



キヨはケンの言葉に頷くと、イノリの頬を指で小突いた。


暫くして5人を乗せた車は土手に到着した。




「はぁ〜…久しぶりだね。落ち着く」

「キヨ、久しぶりって言ったってまだ上京して2ヶ月くらいよ?」



キヨとカンナとカゼは土手の草むらに寝っ転がり夜明け前の夜空を見上げた。




「イノリ〜寝るなら草むらで寝ようぜ」

「あー…面倒くせぇな…」



イノリは渋々起きるとダルそうに車から降り、草むらに寝そべった。

ケンも同じように寝そべる。




「みんなでここで寝そべるの好きだな。世界に私達しかいないような気がして、何も恐くない。…このまま時間が止まればいいのに」


「キヨ?何かあったの?上京してからのキヨはたまに何かを恐れているような事を言うけど、何を恐がっているの?」




カンナは空を見上げているキヨに問う。