続・祈りのいらない世界で

「………またみんなで地元の土手に寝っ転がって星見たいね」





思い返せば、カゼとは星ばかり見ていた気がする。


いや、星を見る時は必ず隣りにカゼがいた気がする。




なんでだろう?


星に願う事はイノリの事ばかりなのに…

隣りにいるのはいつもカゼだ。




カゼがいなくなった今ならその意味がわかる。




きっとカゼが

誰よりも私の幸せを願っていてくれたから、そばにいてくれたんだよね。




それが勘違いでも
自惚れでも構わないから…


そう想わせて欲しい。







「………あ。イノリから電話かかってきた」

「ライブ終わったのかな?シアターももう終わりそうだから、そろそろ戻ろうか」



2人は静かにシアタールームを出ると、車に乗りプラネタリウムを後にした。




「もしもし、イノリ?ごめんね、今ホールに向かってるから」

「お前らどこ行ってたんだよ!」

「ん?埼玉見物♪」



キヨがイノリと電話で会話をしていると、カゼはキヨの携帯を奪った。




「………イノリ。デート中だから切るよ。じゃ」



カゼは一方的に通話を切ると、フッと微笑んだ。

キヨは首を傾げる。




「………イノリを妬かせろ大作戦」


「あはは!何それっ」


「………イノリはキヨの事になるとすぐ妬くからね。見てて面白い」


「イノリは過保護だからね、妹として私を見てるからだよ」


「………それだけならあんなムキにならないよ」


「本当に…それだけだよ…」




キヨはボソッとそう呟くと、窓に頭を付け眠り始めた。