続・祈りのいらない世界で

「カゼ、知ってる?星って宇宙のゴミなんだよ。宇宙から消滅する時、光を放ちながら消えるんだって。

人間から見たら神秘的で幸せにしてくれる星も、宇宙からしてみたらゴミにすぎないなんて不思議だよね」


「………星座の星は?」


「あれはどうなんだろう。星座は昔の人が紡いで作り出したんだから、ずっと同じ形なんだろうし。星座は自ら光を放っている恒星だから、無くならないのかもね」


「………理科の勉強してるみたい」




優しく語られるギリシャ神話を聞きながら、2人は考えれば考える程、沢山の疑問を抱かせる星を眺めていた。




「私ね、人間はきっと死んだら星になるんだと思う。だから星は数え切れない程存在する」



カゼは天井を見上げているキヨを見つめながら、耳を傾ける。





「人が死んで星になって、また星の寿命が来て光を放ちながら宇宙から消されたら、また人間として生まれ変わってくるんじゃないかな」


「………だから星には見守られてる気がするんだね」


「うん。だからもしも私がカゼ達より先に死んでも、星になってずっと見守ってるからね。だから死んだ後もお別れじゃないよ」


「………キヨを先に死なせたりしない。イノリがそんな事させないよ」




何故星は感動させたり、感傷的にさせたりするのだろう。


今のキヨに

悲しい事など何もないのに
5人でいるから幸せなはずなのに




今、全てが無になって消えていきそうで悲しい。





キヨは涙を流していた。





この時キヨが感じた気持ちは、これから訪れる残酷な未来の序幕に過ぎなかった…