続・祈りのいらない世界で

「埼玉もちょっと車を走らせば田舎なんだね。田んぼがいっぱいある」

「………うん。本当だね」



キヨは車の外をキョロキョロと見渡すと、ある建物を見つけた。




「カゼっカゼ!!プラネタリウムがあるよ。入ろうよ」

「………まだ閉館してないかな?」



キヨに促されたカゼは、車をプラネタリウムへと運んだ。




「ちょうど最後の回に間に合ったね」



2人は入場券を買うと座席に座った。


閉館前の最後の回だけあって人はいない。




カゼはオーバーオールのポケットからお菓子を取り出すと、キヨに差し出した。




「ありがとう。カゼ、つなぎ似合うね。私がオーバーオール着て麦わら帽子被ったら、農家のおばちゃんみたいになりそう」


「………キヨ、東京来てからあの麦わら帽子被らないね」


「まだ夏じゃないからね。それにもういい歳だし、都会であんなボロボロの麦わら帽子被れないよ」


「………キヨほど麦わら帽子が似合う子はいないよ。可愛いから被って欲しい」


「カゼがそこまで言ってくれるなら被ろうかな♪」


「………うん。小さい頃からキヨって言ったらあの麦わら帽子だからね」


「どんなイメージよ、それ」




暫くすると明かりが消え、天井に星と見なされた光が灯る。



星座を説明するナレーションを聞きながら、キヨとカゼはプラネタリウムを満喫していた。