続・祈りのいらない世界で

2人はライブ会場の近くの有料駐車場に停めていた車に乗ると、カゼはエンジンを掛けた。



「何処行くの?」

「………埼玉見物。まだライブ終わらないし」

「ふふっ。面白そう♪」



キヨは微笑むと、音楽を掛けるため車に積まれているCDやMDを漁る。




「…ケンの好きなパンクバンドのCDばっかり。バラード系ないかな?カゼは何聴きたい?」


「………ケンが聴いてる曲以外なら何でもいいよ」


「本当にケンはうるさくて激しい曲好きだよね。音がうるさくて何て歌ってるのか聞こえないのに、何がいいのかな?…モテないワケだ」



ケンとパンクやロックが好きな人に失礼な発言をしながらCDを探すキヨ。




「カンナはレゲエと洋楽よく聴くよね。カラオケはいつも洋楽歌うし。イノリはトランスやラップ聴いてるかと思えば、見かけによらずバラードも好きで歌うし。

…そういや、カゼは?カラオケ行っても食べてるだけだし、どんな曲が好き?」


「………うーん。アニソン?」


「へ?アニソン?」




カゼは頷くと、有名な某アニメの歌を唄い始めた。




「あははは!!カゼ可愛い♪」

「………キヨ何か唄って。俺、キヨの歌聴いてるの好き」

「えっ!?カラオケじゃないと恥ずかしいよ」

「………いつも鼻歌唄ってるのに?」



キヨは顔を膨らませてカゼの肩を叩くと、再びCDを探し始めた。


やっとこ見つけたバラードをメインに歌う歌手のCDをセットするキヨ。




車内には優しい音楽が響き渡る。