続・祈りのいらない世界で

「別れって、あっけないものなんだな」



ケン達が去って行った方を見つめていたイノリは、隣りにいるキヨに視線を移した。



「…いっぱい遊びに行ってやろうな。いっぱいフウに会いに行ってやろう?ヨウセイも喜ぶ」



泣きじゃくるキヨの頭を撫でながら、優しくイノリが呟いた。






幼なじみの5人だけの家。



イノリが出て行って
キヨがカゼとの子どもを妊娠して
カゼがいなくなって
イノリが帰ってきて
フウが生まれて
イノリとキヨが結婚して

ケンが夢を諦め
カンナが前を向き始めて


そしてヨウセイが加わった。





たった6年間だけど、その時間の中で沢山の出来事があった。


その全てがこの東京の家に詰まっている。



それも今日でおしまい。






それから2日後。

キヨとイノリ、ヨウセイの3人も家から出た。




キヨの19歳の誕生日に4人がくれた手作りの表札は、もうあの家には掛かっていない。