続・祈りのいらない世界で

「キヨ!やっと完成したよ〜」

「完成?何が?」

「ヨウセイに曲作るって約束したでしょ?忘れちゃった?」



そういえばヨウセイが生まれる前に、“YOUSEI”という曲を作ってくれるとケンは言っていた。


それが今、完成したらしい。




「ケン、夜中に小さくギター弾いてると思ったら、この為だったんだね」

「そっ!…よし、ヨウセイこっちおいで」



ケンは足の間にヨウセイを座らせると、その前にギターを構え、優しく弦を弾き始めた。








沢山の痛みを知ったママ。
沢山の苦しみを知ったパパ。


ママはたくさんの涙を流して
パパはたくさんの涙を堪えた



生まれてからずっと
ママはパパを、パパはママを

いっぱいいっぱい愛していたんだよ。




キミはそんな

いっぱいの愛を知ってるパパとママの愛の塊。



だから、どうか

パパがいないと泣き虫なママと
ママがいないと泣き虫なパパと


全てを照らす太陽の下

沢山の愛を注がれて
沢山の愛を注いで

生きて下さい。




沢山の愛を受けて
沢山の愛を誰かに捧げて下さい。



花も鳥も風も

いつもそばでキミを

見守っているからね









歌い終わったケンがヨウセイを見ると、ヨウセイは不思議そうにケンを見つめていた。


そんなヨウセイの頭にケンは優しくキスをした。