続・祈りのいらない世界で

「まぁ…お前らは一応夫婦だからな。そうするのが普通か」

「２人の未来だもん、私達は反対なんか出来ないよ」



キヨはカンナとケンを見た後、お座りをするヨウセイを後ろからギュッと抱きしめているフウを呼んだ。




「フウ、私の話聞いてくれる？」

「……あい！」



キヨはフウをソファに座らせ、同じ目線に屈むとフウの両手を握った。




「私は誰だか分かる？」

「……まま」

「違うわ。私はキヨ。あなたのママはカンナよ。…分かる？だからね、もう私をママって呼んじゃダメだよ」

「……う？」



フウは首を傾げる。


そんな２人のやり取りをイノリ、ケン、カンナが見守っていた。




「もう一度聞くね。私は誰？」

「……まま！」

「違う。…わかって、わかってよ…フウ。私は…」



キヨが涙目になりながら俯くと、フウがポツリと呟いた。




「……まま、いたいいたい？どっか、いたいいたい、しちゃったの？」

「え？」



フウは頬に流れるキヨの涙をペチっと触った。




「……いたいのいたいの、とんでけー」

「フウっ…!!」



キヨがフウをキツく抱きしめるとフウもキヨにキュッと抱きついた。


偽物親子が終わる時。




「……だいしゅきっ！ふう、きよ、だーいしゅき」



泣きながら抱きしめ合う２人を見ていた３人は、別れが近い事を悟った。