「フウ、そんなに陽ちゃんが気になる?」



退院したキヨが約1ヶ月ぶりに家事をしていると、リビングにあるベビーベッドに眠るヨウセイを不思議な目で見つめるフウがいた。




「……あーちゃん、なむなむ?(赤ちゃん、南無南無)」

「寝てるだけだよ。それと、あーちゃんじゃなくて陽ちゃんね」

「……うぉーちゃん?」

「よ!うちゃん。分かるかな?」



理解したのかしていないのか、フウはキョトンとキヨを見つめた後、口をキュッとつぐんで頷いた。




「……よーちゃん!」

「そう、よーちゃん。よく言えました。フウは賢いね」



フウはベビーベッドの柵を揺らしたり、周りをチョロチョロして片時もヨウセイから離れようとしない。


まるで弟が出来た事を喜んでいる兄のよう。




そんなフウを見たキヨは、フウに伝えるべき事を口に出来ずにいた。




「キヨ、ちょっと相談があるんだけど…いい?」

「ケン!やっと起きたんだね。もう夕方だよ?」

「昨日ちょっと夜更かししちゃったからね。でも、さすがに寝過ぎた。頭痛い…」



仕事が休みのケンは、昨夜遅くまで起きていたせいか、夕方に近い時間帯まで寝ていた。




「お茶淹れてくるからちょっと待っててね」

「うん、ありがとう」



キヨがキッチンに向かうと、ケンはリビングのソファに腰を降ろした。