続・祈りのいらない世界で

「ごめんねっ…イノリ、ごめんね…ごめんなさいっ」




悲しませたくないのに

泣かせたくなんかないのに



いつもイノリを泣かせてしまうのは私だ。




それを特権みたいで嬉しいとも思っている私は、最低なのかな…






暫く抱きしめ合いながら2人して泣いていたキヨとイノリ。


すると涙で掠れた声でイノリが呟いた。



「…お前、4日も風呂入ってねぇから臭うぞ」

「…え?」

「てか、今さっき目ぇ覚めたんだろ?大人しくしてなくて大丈夫なのかよ」



イノリがジロッとキヨを見ると、キヨは笑いながら地面に座り込んだ。




「…ふっ。ふふふ…あははは」

「何笑ってんだよ。4日も寝てたから余計バカになったか?」

「いつものイノリに戻って安心したら、力抜けた」



さっきまでは何ともなかった体が震えている事に気付いた。

胸も少しだけ苦しい。